最近土留崩壊による事故をよく耳にします。弊社も仮設鋼材を扱っている限り事故防止の為の知識習得は不可欠なものであるので、社員全員が日頃から危機意識を持って業務に携わるようにしています。
今回は、ボイリング・ヒービング・盤ぶくれによる掘削底面の破壊現象を説明したいと思います。
【ボイリング】
<地盤の状態>
地下水位の高い場合、あるいは土留付近に河川・海など、地下水の供給源がある砂質土の場合。

<現象>
遮水性(鋼矢板・SMW等)の土留壁を用いた場合、水位差により、上向きの浸透流が生じます。
この浸透圧が土の有効重量を超えると、沸騰したように沸き上がり、掘削底面の土がせん断抵抗を失い、急激に土留の安定性が損なわれます。
⇒即ち、水のまわり込みにより掘削底面が破壊する現象を言います。
【ヒービング】
<地盤の状態>
掘削底面付近に軟らかい粘性土がある場合、主としてN値が3以下の時に検討対象にしています。

<現象>
土留背面の土の重量や、土留に近接した地表面での上載荷重などにより、掘削底面の隆起・土留壁のはらみ周辺地盤の沈下が生じ、最終的には土留の崩壊に至ります。
⇒即ち、土のまわり込みにより掘削底面が破壊する現象を言います。
【盤ぶくれ】
<地盤の状態>
掘削底面付近が、難透水層→水圧の高い透水層、の順で構成されている場合で、難透水層には粘性土だけではなく、細粒分の多い砂質土も含まれます。

<現象>
難透水層の為、上向きの浸透流は生じないが、難透水層下面に上向きの水が作用し、これが上方の土の重さ以上となる場合は、掘削底面が浮き上がり、最終的には難透水層が付き破られてボイリング状の破壊に至ります。
⇒即ち、掘削底面が被圧水により押し上げられ、最終的にボイリング状の破壊になる現象を言います。